コロナの合間を縫ったおかげで、トラベルコちゃんでJAL往復旭川直行便ホテルウィングインターナショナル旭川3泊4日で3万2700円(朝食無)というふざけた値段のプランをゲットすることができた。旭山動物園は11月3日から11月11日まで冬季開園の準備で休園となるのでたぶん世界で一番空いてるタイミングである。
昼頃旭川空港に到着、レルヒ中佐を横目で見ながら旭川駅行きのバスに乗った。目指すは道の駅にあるうまいパン屋DAPASである。うまくバスを乗り継ぐ予定が迷子になってしまいタクシーをお願いした。旭川市博物館に行くつもりだというと場所がわからないとのこと。住所を伝えたところ「ああ、大雪クリスタルホールですね」という。旭川市博物館にはあまり旅人は行かないのかと聞くと、自分は乗せたことがないと言われた。
「それより今人気なのは旭川市美術館ですよ。山下清展やっていて、行列ができています」
山下清は好きではない。
というわけで道の駅に連れて行ってもらい、DAPASの一角に席をとった。食べログではチャパタとソフトクリームがオススメとあった。しかしそれだけでは腹が足りないので、まずはチャパタ130円とベーコンポテト230円、あとはソフトクリームと合わせるのがオススメというキャラメリゼトースト150円、カフェラテ410円を頂く。
チャパタ。もっちもちで香ばしい。うまい。なんか塗りたい。
ベーコンポテト。特筆すべき点はない。
ここまで食べたところでソフトクリーム320円を買いに行った。最初から買うと解けちゃうからねー。
このソフトクリーム、滑らかなタイプではなくみちみち濃密なタイプだったのだが、合わせて食べようと画策していた
このキャラメリーゼトーストが!
う!
うまい!
こんな変哲のないルックスして!
うまい!
どううまいかというと!
なんかこううまい汁!
シロップ?バター?
そういうのがじんわり滲みてて!
トーストしてあって!
かりかり!じゅわー!
やばい!たぶんカロリーおばけ!おばけでもいい!君のためなら太ってもいい!
これをちぎってソフトクリームをディップして食べたら!
そりゃあもう!やばい!
でももうディップとかいい!これ単品で完璧!パーフェクトブレッドだよ君は!
これが150円!150円?え?えええええ?
旭川おかしい!いや、うらやましい!近所に来てください!せめてキャラメリーゼトーストさんあなただけでも!
という感じであった。
堪能し果てたのですぐ向かいの旭川市博物館に行く。入場料たったの350円。
入り口にはちょっと口元がインカラマッさんっぽいアシㇼパさんが。
で、この博物館、展示がめちゃめちゃ充実してて設備もものすごくいい。
のっけからこんな吹き抜けである。旭川市の過去現在未来を象徴する三種の木が根っこの構造ごと展示してあるのだが何の木だったか失念しましたゴメンナサイ!
下から見るとこんなだ!
1階のぐるりには主にアイヌ文化を展示している。
ゴールデンカムイ民にはおなじみのキムンカムイ。
熊送りの模型。
リムセ。
上川アイヌのチセ。
アイヌは「本州の平安時代以降、(中略)北海道の産物を交易品として本州へ出荷するとともにサハリン・千島列島・カムチャツカ半島・大陸のアムール川流域へ進出しながら日本と北東アジア地域を結ぶ中継交易を繰り広げていた」。これは交易民としてのアイヌを像にしたものである。(カギカッコ内は博物館のワンポイント解説「アイヌ民族とは?」より抜粋)
「アイヌの人々は(中略)11世紀前半にはサハリン南部、13世紀以降は千島へも進出し、15世紀にはカムチャツカ半島まで活動圏を拡大して」いた。「1264年、元に服属していたサハリン先住民のギレミ(ニブフ)から、クイ(アイヌ)が毎年宗谷海峡を渡って自分たちの領域を侵すとの訴えが」起こった。「そこで元はときに兵1万人・船1千艘を派遣してアイヌを攻撃し、彼らの侵入を排除」していた。その後も「アイヌはサハリンに侵入するだけでなく、大陸に渡って村々を襲い、略奪をおこなって元軍の手をやかせて」いたが、「1308年には毎年毛皮を貢納することを約束し、元に降伏」した(カギカッコ内は博物館のワンポイント解説「アイヌと大モンゴルの戦い」より抜粋)。アイヌには漠然と北海道で閉じていた狩猟採集民族のイメージがあったが、このアクティブな交易侵略ぶりはバイキングと重なる部分がある。もしもう少し資料が残っていたらアイヌももっと物語の主題となっていたかもしれない。北方に開いたアイヌ像の描出に挑んだのがゴールデンカムイというべきか。尤も私がモノを知らないだけかもしれないのでもしそのようなアイヌを描いた物語をご存知の方がおられたらコメント欄で教えていただけるとありがたい。この石碑は1413年にアムール川のヌルガンに明朝によって建立された勅修奴児干永寧寺記という石碑で、アイヌによる明朝への朝貢について記載されているとのことである。
屯田兵の住まい。質素に見えるが周辺の民家と同等の普請だったとのこと。
旭川市博物館で非常に印象的だったのがアイヌ関連の資料の多さである。旭川という北海道の内陸にありながら、サハリンの先住民族の資料、大陸のオロチョンの資料まである。これは北海道史研究者であった河野常吉の次男河野広道氏の収集の労によるものだという。こういう風に比較して展示できるのは物が残っていてこそなので非常に感慨深い。
サハリンアイヌの獣皮服。誰かの花嫁衣裳のように美しい毛並みである。
北海道アイヌ、ウイルタ、二ヴフ、オロチョンの履物。
カムイノミ(神への祈り)の際、トゥキ(酒器)に継がれた酒に先端を浸しアベフチカムィ(火の媼神)に捧げるために使う棒酒箸コレクション。根付や煙管筒を思わせる丹念で創意ある造形。
様々な神様。三枚目はどこぞのシスターに似ている。
そしてキムンカムイ。
地下には考古学資料、地学資料、生態資料、近現代資料の展示がある。
考古学関連では、縄文、オホーツク文化から擦文に至る出土品の展示がある。
余市町フゴッペ洞窟壁画片。
スマイリーな土偶。
ミニチュア土器群。
オホーツク式土器。粘土ひもを張り付けた繊細な紋様が美しい。
その次にアイヌの暮らしにかかる展示がある。
うばゆりの干し団子。
熊祭り用の祭具。
生態系にかかる展示。
旭川の生物のはく製や
大雪山の植物分布の積層模型
積層模型の周りには高山植物の樹脂標本が配されている これは黒百合
エゾリスの冬のおうち よくできている
金カムファンおなじみの凍裂
個人的に非常に興味深かった偏心成長(斜面に生える樹木が山側から受ける雪の力に対して自分の体を支えようとする過程で年輪幅に偏りが出る現象)
ところでめっちゃ流行ってるシマエナガたんのはく製がなかった。スケール感を知りたかったのだが…。旭川にはいないのか?それとも北海道では雑魚なのか?
非常に贅沢な上川盆地の地形ジオラマ なんと機械仕掛けでせりあがって地層を見ることができるのだ!周りには岩石標本が配置されているぞ!
近現代展示。
レルヒ中佐が導入した一本杖スキー。でかい。長い。
サンタさんが乗ってるやつ。
貸本漫画の源流を思わせる紙芝居表紙。
竈。なんかかわいい。
ものすごく味わい深いおかめの面。
とまぁ、異常に膨大で充実したコンテンツを真新しい設備で見ることができるので、旭川にお越しの際はぜひ足を運んでいただきたい。
不満をいえば、もう少しミュージアムグッズを充実させてほしい。ガラスに自分が映り込んでしまうため撮影できないがことのほか美しいアットゥシなどの絵葉書やクリアファイルはあってもよいと思う。
宿に歩いて帰る途中街灯を透かしたカエデが美しかったので撮った。
その後予約していた居酒屋天金に行った。
事前にメールで2000円で地元産の刺身の調整、単品のアスパラバター炒めとルイベと塩ウニのハーフサイズをお願いしてみたところ対応していただけた。懐が深い。
昼間パンを食べすぎたのでこれでもうおなかいっぱい。
お通しから旨い良い店であった。
帰りにイオンに寄って首周りの防寒具を買った。
これで旭川市初日はおしまい。