即興厨房

大船市場で野菜を大量に買い込んでええ感じのお総菜を一週間分作ってはブログに記録する人です。器は骨董屋でこつこつ集めたぐい飲みやお猪口です。美術展、本、たまの旅行も記事にします。好きな動物はチー付与のどんぐりです。

飯田橋にある日中友好会館1階中国茶芸苑「馥」の麺が二本しかないビャンビャン麺は頗る美味いのであった。

近くで用向きがあったので、お昼を中国茶芸苑「馥」でいただくことにした。

目的はビャンビャン麺である。

ビャンビャン麺は一度伊勢佐木町の手打ちの店で頂いたことがあったのだが、ちょっとこう、平たいには平たいんだがフェトチーネやきしめんの亜流のように思われて、なんだかこれは本物ではないような気がしたのだ。

此度飯田橋至近でランチの店を探していたところ、中国茶芸苑「馥」のビャンビャン麺の描写に

麺が二本しかない

とあるのを見つけた。

麺が二本!ただ事ではない。

こんなものに比肩できるのは京都の一本うどんくらいではなかろうか。

おまけに店舗があるのは日中友好会館である!これが本物でないわけがない!

というわけでビャンビャン麺である。興奮しすぎたためドアップの写真しかなく申し訳ないが、麺が天女の羽衣のように揺蕩うように折りたたまれているのがわかると思う。これが幅広い、分厚い、長い。幅はおそらく5センチ、厚さはおそらく3ミリ程度、縁が半円になっている。そしてマジで二本しか麺が入っていない。具材はやや酸味のある厚切りの牛肉、もやし、ネギ、青梗菜、上に麻辣的な粉とたぶんピーナッツを細かく砕いたものをかけてある。辛痺(カラシビと読んでいただきたい)はそれほど強くないが油断すると唐芥子の欠片が気道に入ってえらいことになるので気を付けていただきたい。

美味い。

麺は口唇の快楽であるという言説をどこかで読んだことがあるが、分厚く幅広い麺はそれを存分に感じさせてくれるものである。なんかもう唇が気持ちいいのだ。啜っていただくなんてことは不可能な量感なのでひたすら箸で手繰ってもっちもっちもっちもっち咀嚼する、その過程で滑らかにスープをまとったよくこねられた麺が唇と口腔内を通過していく。なんという悦楽。食と言うより遊園地のようである。

こちらの付け合わせのスープがまたすごい。

変哲のないキクラゲと卵のスゥプなのだが、片栗粉のとろみが得も言われぬ塩梅である。こちらも口腔粘膜の快楽に忠実な作りである。料理の楽しみは味だけでなく触感にもあるのだということを再認させてくれる素晴らしいスゥプだ。

サラダのドレッシングは油気のない甘酸っぱいやつ。特徴はないが美味しい。

これに柔らかい甘さの杏仁豆腐がついて1200円である。他にも低温調理よだれ鶏などあり近所にあったらめちゃめちゃ通いたい店である。しかし飯田橋は余りに遠いのだった。

ビャンビャン麺の器はびっくりするくらいでかいのだが、たぶん跳ねを防ぐためだと思う。そしてこの器がすごい。日中友好会館の本気を見た。

 

ここまで牛推しの器で出汁が牛じゃなかったら愚連ますよ私は。

飯田橋から微妙に辺鄙なところにあり、こんなビジネス街に店があるのかと不安になるが、ビャンビャン麺を食べたことがなければ是非一度お越しになるとよろしい。後悔はさせませんぜ。

 

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