即興厨房

大船市場で野菜を大量に買い込んでええ感じのお総菜を一週間分作ってはブログに記録する人です。器は骨董屋でこつこつ集めたぐい飲みやお猪口です。美術展、本、たまの旅行も記事にします。好きな動物はチー付与のどんぐりです。

初夏の鎌倉散歩

ジラソーレの主人に、ガラスボウルに合うカトラリーを見つけたことを報告しに行こうと思ったのだ。

しかしあまりにもお昼時だったので少し時間を外すことにした。そうであれば久しぶりに寺の散策でもしようと思いつく。

おんめさまこと大巧寺を抜けて歩いているとき、ふと見えた本覚寺の夷堂の屋根の曲線が美しく覚えて寄ることにした。

本覚寺では気の早い蓮が咲いていた。

本堂の斗供がなかなかいい感じである。

それから道しるべに誘われて妙本寺を訪ねた。

木陰は涼しいものだ。

二天門。

祖師堂の木鼻の意匠が非常に良い。

総門に下る道の柵に小さな庭園ができていた。

それからまた道しるべにつられてぼたもち寺こと常栄寺に参った。実は小腹がすいたので牡丹餅など置いていないかと思ったのである。

人はいなかったがこじんまりとした良い寺であった。

そろそろジラソーレに行くことにした。上がった最初はつるりとした対応だったので二回行ったくらいで常連面をするなと思われていたのかと陰キャ特有の恐れを抱いたが、あれこれ眺めまわした帰りしなに「スプーンをお探しではなかったでしたっけ」と声をかけられる。ああ、自分から挨拶をすればよかったのだといささか悔いつつ、何か良いのがありましたかと返答する。

インドネシアのはありましたがねぇ」

示されたのはインドネシアの影絵のモチーフを柄にした真鍮のスプーンであった。これはこれでよいものだがあのグラスボウルには相性が悪い。そういうと同意された。

「実はあれにあうカトラリーを見つけたのでお見せしにきたのです」

というと、席を勧められた。月桂樹を見せると、「ああ、燕のだね」といわれる。悪くないというようなことを言われ安堵する。

「実は最近甘酒を飲むようになって、それを入れるグラスを探しに来たのです。コップか、足つきの何かを」

「どれかよいのはありましたか」

「これがいいかと思ったのですが、リキュールグラスなので容量が少し少ないと思いまして」

主人が少し目を丸くした。それはどうもその店で扱っているリキュールグラスでは一番いいもので4500円だそうだ。

リキュールグラスに4500円は出せまい。容量ともども諦めることにした。

また何か良いものが入るでしょうからと後にする。手ぶらで帰るのもなんなので、アンクルトリスのいい表情のおきものを500円で買って帰った。

それから鶴岡八幡宮に向かう途中でまた道しるべに誘われて今度は宝戒寺に寄った。こちらは拝観料が300円、非常に静かでよい寺である。本堂の真ん中には地蔵菩薩、右手には閻魔様がおり、それぞれにきちんと蝋燭を燈されているのがよい。堂内は撮影禁止だが、蝋燭の揺らめきが非常に美しく、外の暑さを知らぬげに非常に涼やかで、まことによい雰囲気の寺でいつまでもいたいと思った。そこで私は神籤を引いて、一つ目にいいことが一つも書いていなかったものでもう一つ引くという行儀の悪いことをした。しかし二つ目はまぁよかったのでそちらを信じることとした。

八幡宮前を過ぎて小町通に向かう。駅に行く道すがらは小籠包の店やらなにやらで全体もう取り繕いようもないほどに混沌としており、街並みがこういう状態でも世界遺産に登録できるのであろうかと心配になった。

メゾン・ド・ルルでシュークリームを頂き、公文堂書店を覗いて、さて、本日の鎌倉散策はこれにておしまい。