即興厨房

大船市場で野菜を大量に買い込んでええ感じのお総菜を一週間分作ってはブログに記録する人です。器は骨董屋でこつこつ集めたぐい飲みやお猪口です。美術展、本、たまの旅行も記事にします。好きな動物はチー付与のどんぐりです。

日本最古のカトラリー、燕物産の月桂樹のこと

鎌倉のギャラリー、ジラソーレで購入したアール・デコ調のガラスボウル。

これに合うカトラリーを探して、鎌倉の骨董屋、アマゾン、楽天、横浜そごう、横浜高島屋、雑貨屋、minne、Creemaを浚った。

しかしなかなか心にかなうものが見つからない。敷居の高くない鎌倉の骨董屋はそもそもカトラリーを扱ってない。minne、Creemaも然り。百貨店には、機能美の柳宗理、なんかすごく細いクチポール、お高すぎるクリストフル、親しみやすいラッキーウッドあたりが判を押したように並んでいたが、この器の稀なる美しい水色やモダン且つクラシカルなデザインに合わせたいと思うようなカトラリーは見つからなかった。しかしいろいろ見ているうちに、私が欲しているカトラリーのサイズは姫フォークとティースプーンであることがわかった。実は最初うっかりとあるメーカーのデザートスプーンとデザートフォークをデザートという名称だけでサイズを考えずにオンラインで買ってしまったのだが、届いたのを見たらでかい!お前デザート言うてるやんけ!なんでそんなでかいん!パスタ食うやつやん!と思ったが、調べたところ日本の食事時に出てくるカトラリーはデザートスプーン、デザートナイフ、デザートフォークであり、デザートを頂く際に出てくる小さいカトラリーは姫フォーク、ティースプーン、アイスクリームスプーン等であることが判明した。

わかりづらいわ!

まぁ買ってしまったものは仕方ないので何かに用立てることにして、今度はグーグルショッピングでティースプーンをキーワードにどんどん深く潜っていったところ、ノリタケのクリスティーヌまたはカブリオレが相当自分の希望に沿うことがわかった。しかしこちらノリタケだけあって高い。カトラリー1本に3000円はさすがに出せん。

決めかねて今度はメルカリを浚う。

日本最古

と銘打っているカトラリーに行き当たった。

燕物産の月桂樹シリーズ。

出品されていたのは、デザートフォーク、デザートナイフ、デザートスプーンのペアの箱入り未使用セットであったが、そのすらりとした姿、柄の美しい意匠、ステンレスと異なる色合いに目が留まった。

(私が探していたのはこれではないか?)

ブランドサイトにアクセスした。

稲穂と月桂樹をモチーフにしたロココ調デザインの『Laurel月桂樹』は、燕職人が細部のデザインにまでこだわって仕上げた逸品です。ナイフには、フランス様式のカトラリーの特徴である”鎬(しのぎ)”と”目通し”が施されています。100年続く伝統技術を駆使したカトラリーは、現在も愛されるロングセラーです。

これ!

ここここれ!

これだぁー!

しかも値段もティースプーン1770円、姫フォーク1480円と、その物語性やクオリティに比して値ごろだぁーッッッ!!!

というわけで買ったのがこちらになります。

 

燕物産 月桂樹 姫フォーク

 

燕物産 月桂樹 ティースプーン

 

お判りいただけるだろうか。洋白と称するニッケル合金のほの白い美しさ、特にフォークのシャープで上品なすくいのデザイン、柄の瀟洒で精緻な文様とマット感。

こんなにも、こんなにも美しいカトラリーがあったのだ。

ところでなぜバイヤーのお眼鏡にもかなうであろうこんなにも良質のカトラリーが百貨店のカトラリーコーナーに陳列されていなかったのか。もともと業務用であったこと、現在も受注生産であることが関係しているのかも知れないがよくわからん。

なんにせよ、まぁまぁ長い旅路を経て、私はようやくアンティークのガラスボウルに合わせるに足る美しいカトラリーに巡り合えたのである。

なお、このカトラリーに出会うきっかけになったおそらく月桂樹100周年記念と思われるカトラリーセットも買ってしまった。しかし未使用であまりに状態がいいのでもったいなくて使う気にならないのである。