6月26日、東京発8時20分、モバイルSuica・タッチアンドゴーでの参戦である。モバイルSuicaに新幹線チケットを登録するのにてこずったのも今となっては良い思い出だ。着替えや洗顔料、宿で読む本などはキャリーバッグに入れて宿に送ってあるので、レンズ5本・ミラーレス一眼・一脚・カメラ用バッテリー3本・保温マグ・B6版手帳・スマホ用バッテリー1本のみの身軽な旅装である。
体力があればフルサイズのカメラを持てるだろうが人間分相応というものがある。
仙台駅、新幹線ホームを降りたらわくわくが待っていた。
ロボコンと言えばロビンちゃん!(世代)
もともとの旅程では初日は仙台杜の水族館に振り分けるつもりだったのだが梅雨時で天候が不安定、行き先を天気の良い日にばちこばちこ写真を撮りたかった松島に急遽変更する。こういう急な旅程変更があってもgoogle mapがあればあんしん!どの電車に乗ればよいかをすぐにナビゲーションしてくれるよ!
というわけで松島に着いた。五大堂に向かう途中、後に出てくる観覧亭の手前に…なんでしょうかねこれは。駐輪場?
ああ、これがエモいという感情か。
ああー。
ここの石絶対凄い彫りやすいやつだろ。
松島湾の島は、火山灰が固まった凝灰岩と、海底の砂がたまってできたシルト岩・砂岩でできています。これらの岩は、地球の誕生から現在までを示す地質時代の、新第三紀という今から約2300万年前から約260万年前につくられた地層にふくまれるもので、とてもやわらかく削られやすい特徴があります。
めちゃめちゃ加工しやすいけどめちゃめちゃ侵食されるやーつ。
おなかが空いたのでグリル玉屋に参る。松島は牡蛎がよいとのことだが季節ではなかったため牛タンカレー1210円を頂くことにしたのだ。
店内は広々と清潔で居心地がよい。
窓際、松島湾を見下ろす席には先客がおられたが、手前のテーブルも開放感のある十分によい眺めであった。
少しご飯を減らしていただいている。ご飯は白米と雑穀米(五穀米?)から選ぶことができる。牛タンが非常に柔らかく、且つ見ての通り惜しみなく入っており、うまい。幸先がよい。窓辺の人が食べているのを見てアナゴ丼がよかったかなぁと思ったのは内緒だ。
実に渋いいいつくりである。慶長9年(1604年)に伊達政宗公が造営したとか。まじか。
これはよい斗供。
透かし橋の手前の小さな御堂の横にあった石造りの何か。加工しやすい石材がごろごろしてる土地柄というのはなかなか良いものだ。
盆石やら盆栽やらが目指しているのはつまるところこういう光景なのではないかと鼻先に突き付けられるようで困惑至極。
翻って瑞巌寺に参る。
門をくぐると伸びあがった木々の樹勢に驚かされる。こんなに元気な杜、高野山でも見たような気がするがあっちは山だからなぁ。
や、鰻ですか。穴子ではなく。
石窟だらけですよ。
紫陽花も盛りでありました。
石窟マニアとかここ来たら喜びで死んでしまうのではないか。
こちらは聖観世音菩薩像、達磨大師像、菅原道真像を安置した三聖堂。天和2年(1682)に鵬雲東愽禅師によって建立されたというこれまた渋い御堂。
激渋!
さて時は満ちた、遊覧船に参ろうぞ。
事前に丸文松島汽船株式会社の政宗コースを予約済みである。政宗コースは2階席通常2100円のところ1350円で乗船できるうえに松島の施設で使えるお得なクーポンが付いているぞ!また丸文松島汽船の船は浅瀬を運行できるので兜島や鎧島にも近づくことができるのがウリだ!真面目な話、たった1350円で50分間素敵な解説付きで風光明媚を堪能できるというのはちょっとお安すぎやしませんかね…。
あれに見えるが五大堂。
離岸!
競合の松島島巡り観光船企業組合の仁王丸の乗船料は1000円である。さすがに安すぎやせんか。ダンピング合戦で共倒れにならないことを祈る。何しろ風光明媚なのだから2000円くらいとってくれてかまやしないのだ。
小藻根島に肉薄できるのは丸文松島汽船だけ!盆栽感が甚だしい。
これはわかった!千貫島!
ほんと盆栽ってのはこういうのを手元に置くために考えられたものなんじゃないかと思うわけである。島の名前?わかんねぇよ!(逆切れ)
船では一脚を取り付けたカメラを持って船内アナウンスがあるたびに右にうろうろ左にうろうろしていた。柔らかい地質によるまさに絶景と呼ぶにふさわしい眺めであった。
下船して江戸時代仙台藩主が宿泊施設として用いていたという観爛亭に参る。こちらでは乗船券の割引を使ってお茶とお菓子を頂いた。
なんという絶景であろうか。絢爛豪華な襖絵があるが、そんなもの見てる場合じゃないぐらいの絶景である。
こちらに併設されている松島博物館は…なんというか、非常にこうちんまりとしているというか…見ものが仙台領内絵図くらいしかないと言いたいところだが…江戸時代の赤子養育仕法にかかる展示があり、非常に勉強になった。江戸時代の仙台藩では人口減少が問題となっており堕胎・間引きを禁じるとともに妊娠・出産管理、養育料の支給、養育思想の教化などが行われていたというのである。子育てとはいつの時代もいくばくか難儀な仕事であるということがよくわかる。もし観爛亭に寄ったらご覧になるとよろしい。
さてもう一度瑞巌寺に戻って。
貞享5年(1688)作とは思えないほど状態のいい六地蔵塔。竿の中央部の円盤をまわすことで地蔵菩薩が六道を輪廻する未成仏霊を救済するそうだ(寺の立て札より)。
どう考えても現身のモデルのいるセクシー観音菩薩なんですが立て札とかなかったのでなんもわからん。
素晴らしい拵え。
サイコーじゃないですかぁ…。
平成30年の瑞巌寺落慶法要に合わせて整備された庭園だというが、本当に美しく、いつまでもいつまでも眺めていたいと思った。
なお、瑞巌寺は建物の中は撮影禁止である。絢爛たる孔雀の間、雄々しい鷹の間、静謐なる墨絵の間などあったが、私は新しいこの庭園が一等好きであった。
それから光宗公の菩提寺円通院に参る。伊達政宗公の嫡孫であった光宗公は19歳で早逝したそうだ。
こちらの厨子がすごい。
壮麗な厨子の図案は支倉六右衛門常長が西欧より持ち帰った様々な文化を模様として描き、当時鎖国制度を試行していた徳川幕府に対しては、伊達家の霊廟と申し立て、その扉は開けることはなかったと言われる。その為、3世紀半もの間公開されずに現代に至った伊達藩の秘蔵である。
三慧殿の逗子には水仙や洋バラ、アカンサス、トランプ模様などの西洋的な模様が描かれている。
(円通院リーフレットより引用)
伝統柄の卍つなぎと見せかけてクロスつなぎ。反骨心マンマンである。
こちらにも湿気を帯びたいい感じの石窟が。
日本最古の洋薔薇は支倉六右衛門常長が持ち帰ったそうな。それを記念した薔薇園。
円通院閉門後、瑞巌寺宝物館を駆け足で巡った。東北の画人たちと言う企画展の他、発掘された考古的な品などが並んでいた。
お土産として伊達政宗公二十回忌に奉納された富田大和守安定大脇差による大脇差を模したペーパーナイフを買った。
それからお待ちかねの松華堂菓子店でプリンを頂いた。
贅沢の極みである。
冷たいほうじ茶とセットで950円。惜しみないカラメルの嬉しさよ。
こちらではカステラ半分とカステラのラスク450円ときなこサンド260円を買った。きなこサンドはきなこのバタークリームを挟んだダックワースで大層美味しかった。
松島を堪能しつくしたので仙台のホテルにチェックイン。今回はホテルグランバッハ仙台。毎日ウェルカムドリンクとウェルカムスイーツが用意されている自信をもってオススメできるよいホテルであった。居心地が大変良かったが写真はない。
夕食は牛タン司で頂いた。
ご飯は見ての通り大分少なくしていただいている。
牛タン、まぁ言うまでもないのだが非常に美味しい。かみしめると柔らかく、さらさらとしたくどくない脂がいくらでも滲みだしてくるようだ。テールスープには思いのほか肉のかけらが多く、いわゆるお澄ましでないところが得をした気分だ。これで1987円。幸せになった。
これにて仙台旅行一日目はおしまい。この記事一本書くのに写真の選定や裏取りなどで4時間かかった。平日にはよう書かんわ。