主目的:全国旅行割?乗るしかない このビッグウェーブに
副目的:青森という土地でしか味わえない文化・食を押し戴く
更なる副目的:行きたい店・名所のあたりをつける程度の緩めの下調べ日程調整でどのくらい旅を満喫できるかを検証する
宿泊先:アートホテル青森
旅先での移動手段:電車、バス、徒歩
パック旅行代金:JAL往復便付き4泊 3万3400円 クーポン1万2000円付き
東京(羽田)発出発09:40 青森着10:55
青森発15:10 東京(羽田)着16:30
逗子・葉山駅から京浜急行で羽田第一ターミナルに向かう。逗子住だと空港へのアクセスが楽でよい。
青森空港からはバスで市内に向かう。まずは青森魚菜センターでのっけ丼を食べる所存。
のはずが誤って最寄り駅の一つ手前で降りてしまう。今回は緩めの日程なので商店街を散策しながら向かうことにした。
大坂漆芸さんで津軽こぎんのしおりを330円で購入する。今日は日曜日なので商店街がほとんど閉店とのことだった。
小路の隙間から古い建物が見えたので行ってみたら善知鳥神社であった。
善知鳥神社のサイトで由緒を読んでみたがなかなかに深く全体像が今一つわからなかったので
青森市は昔善知鳥村と呼ばれていた
という最も重要な情報のみを記すこととする。
狛犬の尾っぽが縦ロールである。
倉庫の前に置かれていた前衛とも伝統ともつかぬ看板。寺山修司風味。
後庭にはぺったりとした朱塗りの橋のかかった池がある。
しばらく歩いて良いにおいのする古本屋らせん堂さんを見つける。郷土関連の面白い古本がありそうなので覗いてみることにした。
どうです良いにおいがするでしょう。
ここで青森県の出版社による丁寧な作りの豆本がなんと一冊500円で売っているのを見つける。
『日露戦争新聞号外』を見つけ確保、他にも何か欲しくなり店主に郷土ネタの面白いものはないかと無茶ぶりをする。すると、こちらの出版社は弘前市に在していたため青森市をテーマにしたものは少ないが倉庫に行って見繕ってくださるという。
そうしてお持ちくださったのがこちらである。
このうち、『北の屋台、南の屋台』、『青荷渓流清談』そして当初の予定通り『日露戦争新聞号外』を求める。青荷渓流清談は丹羽洋岳氏が営むランプの宿に棟方志功氏、下沢木鉢郎氏、船水清氏が集った際の談話を起こしたものである。こういう本を旅の宿で読むのは風趣があってよろしい。もちろん津軽こぎんの栞を挟むのである。
それから店内で気になるものを見つけたので尋ねた。
店主によると、これは以前青森市に住んでいた婦人の手によるもので、この店の隠れたベストセラーとのこと。封筒を返すと「手紙小説在中」とある。インクからの手紙と発券所からの手紙を求めた。
こちらはまだ読んでない。いつか屹度これを開封したくなる時が来るだろうからそのときまで大事にしまっておくのだ。
それから漸く青森魚菜センターに参った。営業は7時から16時。10枚つづり2000円の券を買い場内を三周し得心のいく組み合わせを確定した後指定の店でご飯を少なめに盛ってもらったところに具材を載せてもらった。全て券1枚である。
じんや:大トロ締めさば。脂ののった大ぶりの切り身、塩梅もよい。/赤海老。甘味が濃くとろけるようなもったりとした舌ざわり。しかし今のところ海老は金沢のガス海老に勝るものなし。
鮮魚葛西:白子はこの店が一番量が多くつやつやだった。白子は食べつけないのでよくわからないが鮮度もたぶんよい。甘さとコクが遠くにほの見えるがくちどけが良すぎてとろりとした食感のみの残る良い意味で空虚な味わい。運用は醤油でよいのかあっポン酢とか紅葉おろしとか青ネギの刻んだのとかいいんじゃないかなぁ。普通じゃぁん。
高桑商店:ねっとりした筋子がご飯に合わないはずもなく…。
子持ちイカ:店名失念。珍味枠みりん風味。食べなくともよい。
太田商店:こちらの漬物も券1枚。茄子はなんというか今まで食べたことのない甘さであり、作り方を聞いたが地元の婦人作なので細かいことはわからないとのこと。胡瓜は浅い。大根のニシン漬けは大根が殊の外軟らかく驚いた。大根は甘く遠くに元来の苦さが潜む。
券は7枚使った。後の3枚はそのうちの朝食に使うのである。
道すがら見かけたあだちチャレンジ看板。
おなかもくちくなったので青函トンネル記念館を見物しようと駅前の観光センターに聞いてみる。すると青函トンネル関連施設は11月7日から冬季休館とのこと。あああああ下調べええええ。棟方志功記念館への行き方を尋ねると一時間に2本程度のバスの往復の時刻表を下さり大変助かった。
棟方志功記念館の雪栫を施した庭園。
棟方志功記念館では1975年に制作された『彫る 棟方志功の世界』という40分のドキュメンタリー映画を上映しているので見るとよい。実は私は棟方志功に土臭い印象があってそれほど好きではなかった。しかし映画を見て棟方志功が裏彩の板画と油絵と肉筆画の人であったこと、這いつくばるように板画を彫るその気迫を超える刀の巧みさ、乏しい視力でとらえた世界を表し続けたことを知り彼の全体を敬愛することになった。知れば好きになるのだから知るとよろしい。
釈迦十大弟子
昭和19年(1944) 丸紋百花譜
草津 姥餅茶屋
閉扉
16時18分発のバスをつかまえていったん駅に向かった。これを逃すと1時間後であり、1時間は間が持たない。
一旦駅に向かったのは青森ラビナと青森アウガ新鮮市場で翌日の浅虫温泉で温泉卵る玉子と昼食を調達するためである。といって一人旅で10個入りパックなどを購入したら死んでしまう。ロットの少ない生卵が運よく売ってないかなー。ないかなー。
あったァァァ!
青森ラビナに入っている THE AOMORI MARCKETという店で、青森県田子産の「緑の一番星」という良い玉子が3個パックで販売してるぅぅぅー!
確か440円くらい。
というわけで奇跡的にすごくおいしい生玉子3つを入手できた。
そのあと青森アウガ新鮮市場に行き明日のお昼を探す。いと福という実にいい感じの和菓子屋を見つけ和菓子を数点調達し安心してホテル向かった。土産の下調べも兼ねている。
青森アートホテルのロビーは美しい。
部屋には枕が四種類備えてある以外特筆すべき点はない。必要十分である。後ついでに言えばテレビがでかすぎて落ち着かなかった。
アマゾンエコードットでジャズをかけた後先ほど入手した日露戦争新聞号外豆本を開いて気づいた。
下巻だよこれ!
あああー!
あああああー!
ああああああああー!
どうする!これ青森の出版社だからここで手に入れないともう二度と巡り合えない気がする!念のためネットで検索したが当たり前のように豆本の出物などない!在庫がないかをらせん堂に問い合わせたところこの本を出版している緑の笛豆本の会は20年前に社長の逝去とともに廃業しているとのこと。
詰んだか!
「弘前市に成田書店という古本屋があり、そちらに豆本の在庫がたくさんあったと思います」
よっし成田書店じゃぁぁ!
電話番号と営業時間を聞いて早速成田書店に問い合わせる。
色々調べていただいたところ、どうもこの日露戦争新聞号外、B5の大判と上中下の豆本版の二種出ているらしい。上中下かーい!成田書店にはどちらも在庫があるとのこと。そして成田書店店主曰く
「三冊で3000円です。負けられませんしバラでも売れません」
そりゃあそうだ。こんなに作りの良い豆本が一冊500円というのがそもそも異常だもの。
らせん堂店主は下巻のみ販売してしまったことをしきりに詫び返品は受けるとのことだった。しかし、しかしだ。
旅先の道楽的土産に3000円も費やしていいのか?そもそも豆本でこれを購入する意味はあるのか?史料として考えると大判のほうが見やすいのでは…?
等と心は千々に乱れつつともかく弘前城を見るついでに成田書店に詣でることにした。
夕食は津軽三味線の生演奏のある津軽じょっぱり漁屋酒場をネット予約済みである。
こちらが!
大変!
よろしい!
演台の左手に席を設けて頂いた。最初にお通しとして豚肉のすき焼きと湯豆腐が出る。お通しが想定以上に大物で一体いくらなのかと不安になるが、なんとこれに中盤に一回限り好きなだけいただける漬物、最後に出てくるみそ汁がついて1000円である。ミュージックチャージ込みと考えてもどう考えても店の方がわりに合わないありがたい仕様である。この豊かすぎるお通しに、青森サイダー三島シトロン税込539円、元祖貝焼き味噌税込869円、生姜味噌おでん税込649円を頂いたところで空腹が尽きた。サイダーは大変美味しく、貝焼きは卵でとじておりご飯が入っているせいか子どもの病床に作ったおじやの味わい、生姜味噌おでんは生姜味噌が甘く仕立ててあり温まった。他の人がせんべい汁を頼んだところ、せんべい汁の由来を説明する紙芝居が始まって吃驚した。エンタメが過ぎる。演奏は…これはほんとうによいものだった。津軽五大民謡である「津軽じょんから節」「津軽よされ節」「津軽小原節」「津軽あいや節」「津軽三下がり」それぞれの奏法の違いや由来などの前説が入り、演奏が、すごくかっこいい!左手が調律だけじゃなくて弦を弾いて演奏するし、胴を叩いてパーカッションだし、ほんとうに素晴らしいので予約を取ってぜひお越しいただきたい。さらに店を出たところで店員さんが切火をしてくださる!えっ生まれて初めてですありがとうございます!うわーホスピタリティがやばい!なんなんこの店一から十まで素晴らしすぎる!
店内が暗いためあまり良い写真は撮れなかったのだがご参考まで。
お通しの!豚すき焼き
味噌貝焼き
生姜味噌おでん。根曲竹と魚肉練り製品が大変美味しい。この魚肉練り製品はのちにアウガで購入した大角天と思われる。
初日は以上。