即興厨房

大船市場で野菜を大量に買い込んでええ感じのお総菜を一週間分作ってはブログに記録する人です。器は骨董屋でこつこつ集めたぐい飲みやお猪口です。美術展、本、たまの旅行も記事にします。好きな動物はチー付与のどんぐりです。

『ルワンダ中央銀行総裁日記 増補版』服部正也氏のことば

格差について。

 

 国の中で生産された富が一部の人の手に渡ってゆき、それがさらに生産を増すために使われるなら、富が富を生み、国の経済はますます発展するのです。しかし生産された富を手に入れた一部の人がこれを浪費すれば、富は富を生まず経済は停滞するのです。もし国民のあいだに、身分や血縁関係などに寄らず能力のあるものが出世できるような自由競争が行われていれば、富を上手に使ったり浪費するような人たちは早晩競争に負けて、能力のある人たちがこれにとって代り、国の富を手に入れてそれを生産に使うことによってふたたび富を生むという過程が始まるわけです。しかし国の制度でこれが制限されていると、富を浪費する人たちが階級化され、富の浪費が恒久化するのです。(46頁)

 

往時の日本について。

 

 日本の場合はどんなに貧乏な家の子でも勉強して試験に合格すれば一流の大学に入れ、しかも一流の大学程学費は安いのです。現に私の学友のうち三分の二は苦学していたのです。一流の大学を出れば官界事業界に自由に入れ、最高の地位も獲得できるという自由競争が行われています。また明治以来日本は、民族資本の育成に心掛けてきたので、利潤の大部分が国内に蓄積され、新たな富を作っているのです。(46頁)

 

戦争について。

 

 世界はいまだ力が支配していることを痛感すべきで、ただ「平和、平和」と一国で喚いても、一人で祈っても平和は来ない現実を直視すべきである。また、国連憲章にもかかわらず、大国は気が向けば適当な大義名分を掲げて、武力で他国を攻撃することや、自分が気に入った他国の党派に直接に、または第三国をつうじて、武器を供給することが公然と行われているのが現実なのである。

 冷戦が終わったから軍縮だというのはおめでたすぎるのではないだろうか。平和、平和と叫ぶよりは、戦争は必ず起こるものとして、その被害を局限するための自衛策をとり、また、小国の争いでは犠牲を限定するため、武器輸出禁止を大国間で合意すべきであろう。(322頁)