リウボウストア朝すば、中身汁
こちらはお湯を注ぐだけという簡易仕様。しかし正直昨晩の「お湯を入れたうえでレンチン」のゆし豆腐そばの方が10倍くらいうまかった。スープはともかく麺が別物である。
見ての通り浮いている脂が既に旨そうな中身汁。豚モツ、蒟蒻が惜しみなく入っていてこりゃうーまーいー。吸い口は葱だと思ったらチャイブだそうだ。おっしゃれー。PB商品。リウボウストアは信頼できるスーパーである。
ブルーシールパーラー水原店
朝食を済ませて斎場御嶽に向かう。公設市場らへんの外れにあるバス亭開南の場所を確認した後うろうろしていたら早朝営業のブルーシールアイスを見つけたので黒糖をお願いする。お店の人がおまけで沖縄田芋チーズケーキを載せてくれた。380円。
田芋感はよくわからなかったが濃厚なチーズケーキの風味と黒糖が大変美味しかった。
それからバスで斎場御嶽に向かう。
斎場御嶽
琉球の祖先神アマミキヨが降臨したと言われる久高島を臨む琉球王国最高の聖地斎場御嶽。ここに行かねば沖縄に来た意味がないと思い気張って旅程に入れた。
琉球王府は、政治的支配者である国王(男性)と、それを守護する神女であり宗教的再興権威者である「聞得大君」によって祭政一致の体制をとっていました。聞得大君即位式である御新下りが執り行われたのが、斎場御嶽。時の国王と聞得大君は、斎場御嶽と久高島を中心に東方の聖地巡礼を1年おきに行っていました。(斎場御嶽にある御嶽説明書より)
即位式の際は首里城から一日がかりでここまで歩いたそうな。相当難儀であったろう。
また往時は国王であっても袷を女装に直さねばならぬ男性禁忌の聖地であったそうな。今と違い平民では到底立ち入ることのできぬ場所であったろう。有難い話である。
遠くに久高島が見える。丁度この時雷が鳴って盛り上がった。
御門口を越え大庫裏へ。
四角いのが沖縄の香炉だという。この香炉については折口信夫が『女の香炉』という小論を書いている。
沖縄の香炉はすべて、それをとおして神を拝むのであって、香炉一つあれば、神一体あるということになる。香炉は神ではない。ただ、隔たった位置から神を拝む、と言う考えから、これを据えるのである。香炉という品物自体が、仏教形式を思わせ易いが、ただ神聖な品として、これに似たものの用いられていたのが、いつかこれに歩みよったまでで、これは別の物があったのであろう。だから御嶽拝所の香炉は、沖縄全体を通じて、ただ平たい角材の切り石である。(沖縄文化論集 (角川ソフィア文庫)
こうやって実見すると感慨もひとしおである。折口の香炉についての小論は非常に面白いのでぜひ読むと良い。
寄満は首里城の厨房を指すという。ここはその厨房の豊穣を支える島の吉兆を占う場所とのこと。
野生のオオタニワタリさん。
奥に香炉が見える。
この二本の鍾乳石から滴り落ちる清水を
下の壺で受け、聖水として占いや正月の若水取りなどの祭事に用いてきた。
これがつまり沖縄の信仰なのだ。
この後一旦公設市場周辺に戻って軽食を買う。お惣菜屋さんで魚フライとモズクフライを買ったが口に合わなかったので店名は特に秘す。
丸亀
丸亀と言う店でやんばるパインの串を買う。これがなかなかうまかった。
なんと心ときめく店構えか。
ジューシー。
松原屋製菓
それから松原屋製菓で
のー字饅頭や明日の朝飯を買う。何しろおなかの容量が限られているので絶えず少なめを心がけねばならぬのである。こののー字饅頭も中華街の捻ってない肉まんくらいの大きさであるため割と食べでがある。あんはとろとろの滑らか系と見せかけて潰しそびれた豆感もありなかなかうまい。
黒島商店
何やら良い感じの店構えに青い葉で包んだ菓子と田芋をつぶした菓子が売られておる。や、私が聞き書 沖縄の食事で見ていただきたいと思っていたむーちーと田芋にーではないか。葉で包んだ餅菓子は12月8日に頂くむーちーと言うものだが月桃の葉で包んでいるため今は月桃餅と呼ばれている。どうもタバ(びろう)の葉も用いるようだがそのあたりの詳細はわからなんだ。田芋にーは潰して甘くしたきんとんのようなもので、里芋と異なり水田で撮れるためこの名があるという。月桃餅は紅イモ、白、黒糖それぞれ5つずつを最終日に買いたいと伝えたところ取り置きしてくれることになった。田芋は翌日の朝飯用に1パック購入した。
沖縄博物館
先の写真を見ればわかるが軽食は沖縄県立博物館の入り口前のベンチで頂いた。収蔵品保護のため飲食はロッカールーム以外禁止、ご留意の程。
博物館入り口には沖縄の海が再現されている。ナマコがいっぱいいた。
地学
沖縄の生態系など面白い展示が多くあったが、特にわくわくしたのが県の石である琉球石灰岩である。
一番後ろの石に見える白いナミナミはシャコ貝の化石だそうだ。ムラムラするなぁ。
人類学
もう一つワクワクしたのが港川人。
沖縄県の石は三種あり、一つが先の琉球石灰岩、もう一つがリン鉱石、もう一つが港川人!えっそりゃあ石かも知れませんが人骨が県の石!日本地質学会すげぇなと思いました。それにしても一番左、保存状態がよい。
考古学
指先で柔らかく押した爪型文土器。
これはかなり好きな造形の市来式土器。縄文時代後期。
これは沖縄ならではの蝶型骨器。縄文時代後期、ジュゴンのあごの骨やアバラ骨を使って作られたという。良いデザインである。
後大変わくわくしたのが、いつ作られたのか、何に使われたのかもわからないという線刻石板シリーズ。稗田礼二郎先生出番です。
歴史学
歴史関係では
1487年に明の孝宗皇帝が琉球国中山王尚真に宛てた五爪の龍が金泥で描かれている勅諭や
聞得大君を頂点とした地方の間切(行政単位)のノロ(神女)への辞令書。
琉球王国の役人の衣装。真ん中の赤地五色浮織冠が国王の次に偉い王子・按司、紫冠が親方、黄色が雲上。
中国皇帝への使者や貢物を載せた進貢船。
おしりもゴージャス。順風相送とは良い言葉だ。
私の中の鉄分が反応するやーつ。
終戦直後の捕虜収容所で、空き缶を胴材に、棒切れをさおに、落下傘の紐を弦にして作られた三線。
空になった酸素ボンベで作ったボンベ鐘。住民に火事などの危急を報ずるに使われた。
航空機の構造材であるジュラルミンを鋳なおした生活用品。薬缶の造形の美しさに職人の誇りを覚えるとともに、本当に切実な物資不足が偲ばれる展示であった。
民俗学
琉球では風葬の後朽ちた遺体を洗い骨にして厨子甕に納める。その厨子甕は時代ごとの技術釉薬の進化と共に変遷が見られ非常に美しい。
糸満で男性が獲った魚を売りゆく女性。カミアチネー(魚の行商)の売り声が流れており郷愁を誘う。これも聞き書 沖縄の食事で読んだ風景である。
みんな大好き食事風景。
聞き書 沖縄の食事によると、琉球では夜のうちに畑から薩摩芋を必要分とっておき、朝になると家族一日分と豚の餌分を蒸かすのが女の仕事だったという。地域にもよるが沖縄は平地が狭く米が余り取れなかったため朝昼晩の主食は薩摩芋であり、朝蒸かした芋は右上にあるざるに入れて昼夜用に保管しておいたそうだ。こういうことは写真を見ても文章を読んでも案外感覚が掴めない。実見できて良かった。
ふれあい体験室
ところで沖縄県立博物館のふれあい体験室はすごい。何がすごいかって
なんと!あの!偕老同穴の!骨格を!おさわりできちゃう!
今まで行ったことのある水族館では展示しか見たことないのに!
おさわり!
キャッホウ!
すっごい軽い!そんでもってなかになんかカラカラするものが入ってる!
それがカイロウドウケツエビ!
うひょー!マジか!
あとこれ!なんだと思います?
ソテツで編んだ虫かご!
すごい!造詣が美しすぎる!
とまぁ十分堪能したのでようよう沖縄県立博物館を辞することにした。
博物館のサイトを見直したら芭蕉布を試着できるらしく逃したのが大変悔しいが人生仕方ないこともあるものだ。
宮古そば SAIGA
沖縄に住んでいた知人に沖縄に行くなら骨汁を食べるよう強く強く勧められたのでワクワクしながら検索しまくりこの店を訪ねた。
しかし既に骨汁は売り切れとのこと。
そこで宮古そばを頂くことにした。
沖縄そばよりスマートで縮れのない麺。豚の赤身肉、かまぼこは別皿で提供である。スープは…非常に語彙が貧しくて申し訳ないのだが…清冽、とか、澄み渡る、とか、雑味のない、とか、聞いたような言葉しか出て来なくて我ながらつまらない。マクスウェルの悪魔の力を借りないと仕立てた後に雑味は取り除けないだろうから、温度や時間を調整して様々な食材から旨味のみを抽出しているのだろう。その工夫と管理がおそらく素晴らしいのだ。かまぼこも非常に美味しい。肉もいいがかまぼこの味がよい。こんなに美味い宮古そばをたべさせるところの骨汁はいかばかりであろうか。店主に骨汁はいつ頃まであるのか聞くと昼頃までならという。明日は美ら海で一日過ごすがその後の残り二日で頂けるとよいなぁ。
これにて二日目は終了。