沖縄旅行でおきなわ郷土村を訪ねた際、総合案内所の敷石が琉球石灰岩の質感色調であったので仔細に眺めたところ、いくつか化石らしきものを見つけた。そのうちの一つがこれである。
同敷地内にある海洋文化館の受付でおきなわ郷土村の敷石でこういうものを見つけたのですがと聞いてみたところ、ここらで使われている石灰岩は皆琉球石灰岩であるがそもそも化石が含まれていることを知らなかったという。
この化石は巻貝の正中線を外した断面ではないかと思ったが何だかよくわからない。
一番大きい奥のシャコガイ満載の石灰岩の題箋を拡大したのがこれ。
帰ってから沖縄県立博物館に「こういうものを見つけたんですが写真を見ていただけますか」というような問い合わせをしたところ、「こちらでは実見できないのでおきなわ郷土村に問い合わせてみては」という回答だったので自力で頑張ることにした。
琉球石灰岩 化石という用語で検索したところ、「宮古島の琉球石灰岩層貝類・珊瑚類の化石」という論文に行き当たった。宮古島市のサイトには宮古島の文化財というコーナーがあり宮古島関連の論文が惜しげもなく公表されている。宮古島市すげぇなありがとう。
https://www.city.miyakojima.lg.jp/soshiki/kyouiku/syougaigakusyu/hakubutsukan/files/kiyou05-04.pdf
こちらの論文、非常に網羅性があり写真も満載でとてもよいのだが、綺麗に掃除された完全な化石ばかりで断面だとどう見えるかがよくわからない。
そういえば東京大学で貝の建築学という貝の断面満載の展覧会をやっておった、うっかり見そびれたが見ておけばよかった、IMTで資料を貰ってきていたような覚えがある、しかし足が折れているので探すのが大儀だなどと逡巡する。未練がましく「巻貝 化石 断面」という用語で検索していたら近しい顔つきの断面が見つかった。
こちらの記事の
2 フデガイ型の巻貝 長さ6センチぐらい。
が似ているように思われる。
こちらについては
石材は黄色の砂質石灰岩。化石の中で一番多いのは、長くて、巻きと巻きの間がほとんど凹まない巻貝。現在の種類で言えばフデガイのような形態であろう。
とあるので、「巻きと巻きの間がほとんどへこまない巻貝の断面はこのように見える」ということの証左となる。元学芸員とのことでプロのお仕事である。頼りにしちゃえー。
というわけで再び宮古島の論文に戻りそれらしいのを探したところタケノコガイというのがあった。
タケノコガイの断面で検索したらえっまた君かの貝の建築学の図3の塔型に行き当たった。
とりあえず塔型の貝の断面らしいことがわかったので素人はここで撤退することにした。
あとは先の宮古島の論文に照らして、同じ総合案内所の敷石で見つけた
これがクサビライシの一種なんじゃないかとか
これがキクメイシの一種なんじゃないかとか
これがオオサザナミサンゴの一種なんではないかとか類推して遊んだ。
調べるのは楽しいが所詮素人仕事なので研究者の方々を崇め奉ることとした。