【材料】
蕪の葉 二束分
エリンギ 1パック
大根 1/6程度
油揚げ 2枚
冷凍浅利のむき身 1カップ程度
【調味料】
桃屋の刻み生姜 大匙3杯
塩 小匙2杯
胡椒 5振り以上
【使う道具】
鍋
落し蓋として:使う鍋より一回り小さい鍋の蓋
繊切の出来るスライサー
【作り方】
- 蕪の葉を3~4cm程度の長さに刻み洗う
- スライサーを鍋の上にセットし大根を繊切にする
- エリンギは手で径1~2cm程度に裂いた後3~4cm程度の長さに切る
- 油揚げは横半分に切った後幅1センチ程度の短冊に切る
- 1~4を鍋に入れ浸るほど水を入れる
- 塩を入れ中火にする
- 沸騰したらあさりと桃屋の刻み生姜と胡椒を入れる
- 一混ぜした後落し蓋をして3分ほど煮る
- そのままさます
- うまい!
【このレシピの経緯】
蕪が好きだ。しかし蕪の葉はどうするのがベストなのか。ただお浸しにしてもどこかうまくない。アブラナ科のせいか辛みに似た癖がありその割に旨味が少ない。生では硬く、煮込みすぎるとくたくたになる。ルックスはいいわりにどうにもつぶしが効かない感があって、最近では味噌汁の菜っ葉として採用していた。しかしこれも今一つよろしくない。圧力鍋で加熱すると十分に柔らかくはなるのだがそれでもなんとはなしに筋が残って滑らかであってほしい味噌汁の舌触りになじまないように思われるのだ。お前をどうやって使ってやるのがよいのか、どうやればお前の旨さを一番引き出し食材としての生を全うさせてやれるのか、ずっと結論が出せずにいた。
味噌汁にサツマイモを入れるようになって、その甘さ滑らかさからいよいよ味噌汁内での蕪の葉の座りの悪さが際立つようになった。このままでは蕪の葉は味噌汁の邪魔ものになってしまう。そんなように危惧した私は、蕪の葉がなぜお浸し味噌汁にあわないか、その食味の特徴はどのようなものであるかをおさらいした。やはり一番は蕪の葉のかすかな癖と硬いんだか柔らかいんだかはっきりしない性質にあると思われた。菜の花なら辛子和え、春菊なら青じそドレッシングというように、癖のある野菜には癖のある香草や調味料を合わせるのが常道である。しかし蕪の葉はそこまで癖が強いわけではない。では生姜を合わせてはどうか。このアイデアはいけそうに思われた。後はうまみだ。あご出汁は上品に過ぎるし、麺つゆは凡庸に過ぎる。深川めしのように浅利を導入すれば江戸の総菜のような味わいが出るのではないか。そうとなれば大根を繊切にして涼やかさを演出しよう。浅利の良い出汁がもったいないから油揚げを入れて含ませよう。食感の楽しさはエリンギに任せよう。色を濁らせたくないから塩のみで調理しよう。ダメ押しに胡椒を入れて風味をずらし且つ江戸のハイカラ感を演出しよう。蕪の葉は柔らかくなりすぎぬよう、浅利は固くならぬよう、二段階に分けて材料を投入しそれぞれ短時間で炊き合わせよう。
そうしてこのレシピが出来上がったのである。