即興厨房

大船市場で野菜を大量に買い込んでええ感じのお総菜を一週間分作ってはブログに記録する人です。器は骨董屋でこつこつ集めたぐい飲みやお猪口です。美術展、本、たまの旅行も記事にします。好きな動物はチー付与のどんぐりです。

【おでんを買ったら】巾着卵のおでんつゆ煮【またやろう】

【材料】

食べる前に取り分けておいた市販のおでんのつゆ

油揚げ

玉子

 

【使う道具】

直径が油揚げの長辺以上の鍋

 

【作り方】

  1. 鍋におでんつゆを入れる
  2. 油揚げの短辺を手開きにする
  3. 小さい器に卵を割り入れる
  4. 油揚げに卵を流し込む
  5. 油揚げを鍋に横たえる
  6. 弱火で煮る
  7. 箸でつついて弾力がゆで卵になっていたら出来上がり
  8. うまい!

 

【このレシピのいきさつ】

うちの子どもがおでんを好まないのだ。しかし私はいつもあの魚肉練り製品を、あの白滝を、あの玉子を、あのがんもどきを懐かしんでいた。今日は子どもが彼女の家にお泊りの日だ。なればおでんを頂きたい、それも上質のおでんを。ベイスターズが調子いいらしく横浜高島屋ベイスターズセールを開催中のところ、私は何かの予感に導かれて神茂の前に立った。調理済みおでん! セール! 神茂の魚肉練り製品をふんだんに使った神茂の仕込みのおでんがセール! 具体的に言うと、常ならば8種入って842円の調理済みおでんが648円だったのである。嗚呼、私はこれに呼ばれたのだと悟った。持ち帰ってゆるゆると温め、具だけを先に頂いた。さてこのおでんつゆを如何にせん。何しろ神茂のおでんつゆだもの、何か良いことに使わねばならん。閃いた。最近ツイッターで見ていつかやろうと思っていた巾着玉子、あれは今日この時のためのレシピなのではないか? 慌てて台所に立ちなおし、味噌汁用に買い置いたスーパーのお安い油揚げを湯通しもせず包丁も使わずただその短辺を手開きにした。おお、なんとまぁ自然に空洞ができているものよ。油揚げは偉い喃。大して考えずに玉子に罅を入れ、これ失敗するなぁと漠然と予感しながら油揚げの短辺に玉子を形だけあてがって開いたら思った通りに玉子は油揚げを逸れておでんつゆに落ちていった。そりゃあそうだろうなぁと思いながらお玉で掬い黄身だけを油揚げに入れた。もう一枚の油揚げを同じように開き、今度は少し賢くなってお椀に玉子を割り入れた。しかしお椀から油揚げに上手に移せるかというとそれも案外難しかったので結局小さいお玉を使った。今回はとてもうまくいった。それで油揚げ二人をおつゆに寝かせて弱火でゆっくりくつくつ炊いた。5分ほどして箸でつついてみたらまだ白身がたゆたゆしているのでもう5分待ってまたつついたところゆで卵なりの弾力が感じられた。つゆもろとも二つの巾着玉子を器に空け少し冷ましたところで油揚げにかぶりついた。ふくらかなうまみを孕んだおでんつゆが安っぽい油とともにじゅわりと口中に広がる。やはり油抜きをすべきだったような、それともこのままでいいような、そんな気持ちになった。おでんつゆに居残った白身は実によくおでん出汁を含んでいてうまい。巾着の中の白身は清潔なままだが油揚げの豊潤に助けられて充実している。黄身は半熟を少し越したよい塩梅だ。うまい、うまいなぁ。池波正太郎の小説の登場人物になったような感じだ。これに葱か何かを入れてもよかったのかなぁ。それとも結び白滝をしみじみ炊くべきだったのかなぁ。いや、今回はこれが正解だ。こんなように少し急いた感じで食べきった後のおでん出汁でいそいそと油揚げをたくのがよかったのだ。そんなことを思いながら、黄身だけを入れた巾着も全卵の入った巾着ももちろん油揚げに包まれ損ねた白身もおでんのつゆもすべて残らず頂いた。そんなわけで今の私は食べすぎでぽんぽんがちょと痛い。