横浜そごうの地下二階にある駅弁コーナーで、そのあまりにもよい笑顔と「本日限定」の文字にやられて手に取った。中身は魯肉飯と書いてある。ひっぱりだこ飯で高名な淡路屋さんのものなのでどうやっても失敗しないだろうと思い買い求めた。案に違わず頗るうまい。どう美味いかというとまず上に載っているのが例のバラ肉を甘辛く煮たものだが、それが冷めても脂身がいやらしくなく歯ごたえありつつ柔らかく大変うまい。これが容量の1/4ほどの厚さまで入っているから堪えられない。青物は菜の花をごま油で和えたものだというが、微かな辛みとごま油なりのこくがあってよい。彩のピーマンも気が利いている。煮玉子は茹で加減が黄身にかすかにとろみをのこす鮮やかな橙色の仕上がりで、子どものころ遠足弁当に入っていた加熱しすぎて全体がぱこぱこしたゆで卵とは一線を画している。そして飯! 大体ひっぱりだこ飯でああいう味付き飯を作ってのけるところだ、うまくないわけがないのである。これ以上だとくどい、これ以下だと物足りない、その丁度良い加減の味付き飯が器の最後まできっちりと詰まっているのである。ジャケ買いの弁当でこんなにも深く満足するとは思わなかった。
なお弁当は職場の昼ごはんとして頂いたので写真はない。家に帰ってきてこの素敵な器をどう撮ろうかと考えあぐねたあげく、初めてセリアのこれサポ 推しジェニックシートを用立ててみた。大変便利なのだが、普通の青空とか芝生とかないんかい、これ。
尚こちらの器、学帽を模した蓋には硬貨の投入口が設けられている。貯金箱に転用してほしいとの意であろう。
しかし旅先でまた見かけたら買うかというとそうではない。こちら器が陶器なもんでまぁなかなかに重いんである。とはいえ捨てて帰るにはあまりに愛しく、そうであれば今回のように、近所の百貨店やスーパーの催事なんかで出ているのをいそいそと保護して持ち帰り器に何を入れてやろうかと考えるのが最も正しいということになってしまうんだろうなぁ。