草津温泉には煎餅もある。炭酸せんべいと呼びならわす類の煎餅で、小麦でできた軽い食感のものである。鉱泉に含まれている二酸化炭素の発泡をつかって生地を軽くするものだから、炭酸泉でない草津の鉱泉煎餅はそもそも成り立つのかという気持ちでおった。頂いたところ、確かに生地は軽いが、子どものころになじんだ炭酸せんべいよりだいぶハードである。また甘さは炭酸せんべいらしく控えめではあるが、味わいの奥というか、底流のような部分に、なんともいえないコクや旨味のようなものがある。これは炭酸せんべいには見当たらない不思議なうまさである。草津温泉のポータルサイトによるとこのせんべいは卵を使っているという。それゆえの旨味なのか。しかし味もさることながらこのルックスがいい。そう、こうやって型で丹念に焼いてあるのがこういう煎餅の値打ちなのだ。一つ一つの活字がなんとくっきり浮き出していることか。いかにも消化によさそうな歯ざわりを楽しみながら、私はもう草津温泉が懐かしくなっていた。
この包装紙、絶対民藝がらみの人の意匠でしょう。
この書体、色の組み合わせ、そして無駄のない貼り方!
この純朴な、芋版のような篆刻印のようないとおしさ。
みっしり。
これだけ入って850円というのは奢りが過ぎるんじゃないですかね。
他の煎餅の味わいも追記予定である。心して待つのだぞ。