即興厨房

大船市場で野菜を大量に買い込んでええ感じのお総菜を一週間分作ってはブログに記録する人です。器は骨董屋でこつこつ集めたぐい飲みやお猪口です。美術展、本、たまの旅行も記事にします。好きな動物はチー付与のどんぐりです。

【2023年9月10日~12日 三鷹・武蔵野旅行 一日目】江戸東京たてもの園、鬼太郎茶屋、深大寺、鈴屋、深大寺手打ちそば湧水、太宰治展示室三鷹の此の小さな家

遅い夏休みをとって二泊三日で三鷹・武蔵野に旅行してきたので記録する。

 

【主目的】世間のジブリアイがジブリパークに集まっているうちに三鷹の森ジブリ美術館に行く。

【副目的】片道二時間かかるのであればいっそ泊まって周辺の文化施設と美味いものを一通り押さえればよかろうなのだだァァァァッ!!

 

というわけで中央線武蔵小金井駅からバスに乗って小金井公園西口へ。

小金井公園西口

公園の通路沿いには様々な品種の桜が植えられていた。以前の勤務先近くにあった国会前庭には日本さくらの会が同じように様々な品種の桜を植えており、花もとりどり、咲く時期もとりどりであったことを思い出す。この公園も春になれば異なる桜が継ぐように咲くのだろうと羨ましくなった。

江戸東京たてもの園

道なりにあるいて、途中で左に曲がって、軽快な木馬型のスプリング遊具のある公園を更に道なりに進むと江戸東京たてもの園の入り口がある。大人一名400円。入ってすぐ右手にミュージアムショップがある。無料の冊子様のパンフレットもなかなか立派で写真と簡単な解説があるが、ここは1軒ずつを間取り付き見開きで解説しているA4判70頁の「江戸東京たてもの園解説本」を求めたい。全頁カラー印刷で1冊315円という廉価である。何かの間違いではないかと思う。

序に1棟440円の小さな陶の家を買った。ミナミヌマエビの水槽の飾りを探していたところなので丁度よかった。

江戸東京たてもの園土産 陶の家 小

江戸東京たてもの園は横に細長く、左手の西ゾーンの一番奥が農家等の古民家群、その手前が近代モダン建築、右手すぐが高橋是清邸、さらに右手が西ゾーンになっており、農家、そして下町仲通りという商店街になっている。また伝統工芸の実演など折に触れイベントが開催されている。

この日は表具とすだれの製造の実演があった。

表具師 佐野文夫さん

右手前に書を揮毫した半紙がある。この半紙をまず水で湿らせて刷毛で薄めた澱粉糊を塗り更に和紙を載せて刷毛で素早く撫でて空気を抜いていく。これを裏打ちといい、半紙を丈夫にししわをとるために行う工程だという。裏打ちした紙を後ではがしやすいように小さな紙の切れはしを挟んで背後の襖に貼る。乾いたら水牛の角で作ったへらではがす。何でも昔は象牙を使っていたが今はワシントン条約の関係で水牛を使っているのだそうだ。象牙と何が違うかと問うたところ、象牙は何年もかかって育つので非常に丈夫であること、また水牛の角は使っているうちに穴が浮いてきて不都合だという。そもそも角にせよ牙にせよ芯のいいところは印材になるのでへらにするのは切り落としのあまりよくない部分だとのことだった。和紙にしても漉いて作るのだから大きさには限りがあるので大きいものを仕立てるにはどうしても継ぐ必要がある。しかし継いであるのを見て余り物の紙を使ったのではないかと文句を言ってくる人がいるそうだ。掛け軸に使う裂はどうやって決めるのかと聞いたところ、依頼主が持ってくるものを使うこともあるし、店で用意しているものを使うこともある、この表具師さんの場合は100種くらい用意しており依頼主と話し合って決めるのだそうだ。表具は修理するのが前提なのではがしやすい糊を使っているとか、墨は膠を使っているので乾いた後に濡らしても滲まないが摺った翌日の宿墨を好む書家もいる、そういう宿墨は濡らすとどうしても滲んでしまうがそういうものであることを知らずに表具を頼まれて滲んで文句を言ってこられると割に合わない、そんな話を色々聞けて大変面白かった。ところでこの書は誰のものなのかと聞いたところ、お客さんが持ってきた千字文だという。書家のものを実演に使うのは気が引けるだろうし、とはいえそれなりに見栄えのするものを使った方がよいだろうし、ちょうどいいのであろう。

表具師の佐野文夫さんは東京都伝統工芸技術保存連合会。品川区職人組組合員で表具師としては三代目だそうだ。江戸っ子の精髄のような方である。

それから簾の実演を見た。実演を見ると簾とは植物の茎と糸で編む織物であるということがよくわかる。こちらでは投げ玉で実際に五行を編ませてくれる。職人さんはひょいひょいリズミカルに投げておられたが、こちらはおっかなびっくりである。しかしそれでもようよう一段編むことができた。普通どこから編むものなのかを聞いたところ、真ん中から編み始めて左右に進むそうだ。また天皇などやんごとなき方々の前に掛ける御簾はどんな素材を使っていたのかと伺ったところ、あれは艶やかで品のある竹の皮を使っているそうだ。何でもかんでも知らないことばかりで楽しくてたまらない。

建物はいろいろあったが特に常盤台写真場が楽しかった。撮ったつもりの外観の写真がなく狼狽えているが内観はこんな感じである。

常盤台写真場二階写場

常盤台写真場二階支度室

左手前に鏡台がある。当時からミシンが置いてあったのかはわからないが、衣装が合わなかった場合当座で調整したのではないかなどと想像すると楽しい。

常盤台写真場子供室

なんでこんな窓際に四つも椅子が並んでいるのかと聞いたところ、ここんちは8人も子どもがいたので勉強机をこういう風にしたんだという。8人じゃあこれでも間に合わないと感心した。

さて子宝湯である。こちらも「外観は人がいなくなってから撮ろう」と高をくくっていたら撮り損ねたので内観を。

子宝湯玄関

子宝湯の玄関に高砂ゆりかごから墓場まで

子宝湯女脱衣場

赤子用の秤がある。

子宝湯男湯場

子宝湯女湯場

仕切りが低く開放的である。

カランは今でも現役で水が出るつくりになっているそうだ。

子宝湯 湯場から玄関を臨む

子宝湯湯舟

解説本によると、手前の独立した小さな湯舟はくすり湯で、昭和三十年代はラジウム湯、昭和四十三年以降は中将湯を使っていたとのことである。

鍵屋

こちらは居酒屋の鍵屋。内田百閒も通っていたそうだ。実にいい。

鍵屋 みせ

鍵屋 みせ

鍵屋 入り口溝

入り口の右手に手洗いがあり、その水を外に流すために切られた溝だと思うが表から見ると水の出口がない。移築する際省いたのだろうか。

鍵屋 店座敷


こういう座敷は理想である。

ここらで一旦江戸東京たてもの園を辞してバスと電車を乗り継いで深大寺に向かう。旅程に一つくらい寺社を入れておこうと思ったのだ。

鬼太郎茶屋

と言い乍らまずは鬼太郎茶屋へ。

鬼太郎茶屋

鬼太郎茶屋

良い席にありついた。

鬼太郎茶屋 一反木綿の茶屋サンデー

一反木綿の茶屋サンデー900円と

鬼太郎茶屋 ゲゲゲラテ 山田真吾くん

ゲゲゲラテの冷たいの700円を頂く。

ゲゲゲラテキャラ表

キャラは選べる。テレビくんと大分迷った。セット割で100円安くなった。

鬼太郎茶屋の右手2階はギャラリーになっている。水木先生のオノマトペというテーマであった。

鬼太郎茶屋ギャラリー

水木先生のオノマトペと言えばビンタのビビビに尽きるだろう。

鬼太郎茶屋ギャラリー

千年に一歩あるく鳥!

こういう哲学的なことを言われるとぐうの音も出ない。

鬼太郎茶屋車

ライトが目玉おやじなのはお約束である。

鬼太郎茶屋土産

お土産として鬼太郎おみくじ748円と妖怪おみくじストラップ目玉おやじ385円を買った。だってほしかったんだもん。おみくじは吉であった。50種類あるらしい。スタッフ頑張っておられる。

深大寺

深大寺斗供

肝心な深大寺の写真は本堂の斗供しかない。良い斗供である。こちらでは深沙大王の御朱印500円と元三大師散華700円を拝受した。角大師が好きなのだ。おみくじは200円。吉であった。

鈴屋

深大寺門前土産店 鈴や 巻せんべい

お土産に鈴やという店で巻せんべいを買う。どうも深大寺の名物は有平糖らしいのだが他の店の品の製造所が小田原で興ざめしていたところ、こちらは調布市のいなづる製菓というところで作っておったので買った。有平糖を瓦せんべいで巻くというのはなるほど職人芸であろう。こちらお味はというと瓦せんべいが素晴らしく香ばしく有平糖は純粋に甘く非常に美味しいのだがお年寄りに与えると歯を痛めそうである。瓦せんべいは思ったより柔らかくまた有平糖も思う程固くはないがその硬さをおそるおそる確かめながら齧らなくてはならないのが難である。またどうやっても行儀良くいただけない。シガールのように端から齧るしかないのだが当たり前だがまぁまぁ崩れる。しかしとにもかくにも美味いことは保証する。原材料も、砂糖、小麦粉、卵、水あめ、澱粉、食塩、膨張剤と混じりけがない。安心なおやつで味もよくなかなか珍しくおまけに値頃なので歯が丈夫であれば是非。

深大寺手打ちそば湧水

早めの夕食として深大寺手打ちそば湧水に行って湧水天もり1600円を頂く。

深大寺そば湧水 湧水天もり

深大寺手打ちそば湧水 湧水天もり

深大寺そば手打ち湧水 湧水天もり

まぁそばは信州になかなかかなうものではない。

深大寺そば湧水 そば羊羹

こちらでそば羊羹というものを3切れ360円で売っていたので買ってホテルでお夜食にいただいた。そば羊羹は、そば湯、小豆、そば粉入りのそば湯の三層仕立てとなっている。ベースがそば湯であるためか、寒天のような切り立った食感はなく外郎のようにもちもちしている。目が醒めるようなうまさはないが全体さっぱりしていて悪くない。そば湯をこうやって使うのはとてもよい考えだと思った。

太宰治展示室 三鷹の此の小さな家

さて、実は旅行のしょっぱなから一番使うオリンパスパンケーキレンズがお亡くなりになった。しくしく泣きながらネットで検索したらほかのレンズが使える場合はレンズの電気接点に問題がある可能性があるとのこと。カメラのキタムラが三鷹駅前にあるので三鷹駅に行きレンズの電気接点のメンテナンスを依頼する。30分かかるというので散策をと思ったがそういえば諸星大二郎展を見に来たのがこの建物だったと思いだしてギャラリーで何かやっていないか調べたところ「太宰治展示室 三鷹の此の小さな家」が常設されていた。早速行ってみたら太宰治が最晩年に暮らした家と同じ間取りの展示室で六畳間の文机には400字詰めの原稿用紙が用意されている。執筆体験用だそうだ。押し入れの前には二重廻しがかけられていて、どうも試着できるようだった(あとから知った)。文机には初版コレクターが寄贈(寄託?)した太宰の愛読書が立ててあった。

三鷹の此の小さい家 太宰愛読書

読んでもよいとのことで展開させていただいた。

三鷹の此の小さい家 太宰愛読書

わー末摘花だー。出かけてる間におかんに部屋掃除されて愛読のエロ本机に置かれてるくらいキチィな。

摘み読みしたところなかなか良かったので勢い余ってメルカリで買ったのは内緒だ。

ちなみにレンズは直らなかったので太宰治展示室の写真と湧水天もりの全体写真以外はマクロレンズとフィッシュアイボディーキャップレンズで撮ったものになる。案外何とかなるもんだ。旅行中であること、直らなかったという事情を汲んでメンテナンス代を無料にしてくれたカメラのキタムラさんありがとう。

この後イトーヨーカドーによっておーいお茶の濃いやつのペットボトルを4本買った。宿泊はホテルメッツ武蔵境。駅から近いどころか駅と一体化している素晴らしい立地のホテルである。明日明後日に備えてフロントでペットボトル2本を冷凍してもらった。

アマゾンエコードットにすっかり飼い慣らされた私は滞在先のホテルに着替えと一緒にエコードットを送るようにしているのだが、今回はホテルのWi-Fiサードパーティーの端末と認識され接続できなかった。こんなこともあろうかとipodtouchを持って行っておいて良かった。枕元に備え付けの目覚ましを設置するための窪みがあり、そこにipod touchを据えると反響してスピーカーのようによく聞こえる。旅先の夜は静かすぎるので音楽が欲しくなるのだ。

これにて一日目はおしまい。

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