音に聞く鯖姿寿司の店、いづう。
京都旅行の際、安全と美味を保証された夕食として、伊勢丹京都で鯖雀盛合せ弁当税込2673円を予約した。
サイトには内容量として、小鯛×3貫、鯖×3貫との記載があり、写真では器にきれいに盛り付けられている。
店頭で受け取った商品はこんな感じ。期待がいやまさる。
包みを開けると、
「昆布をはがして食べてください」
とという主旨の紙片が挟んである。
(昆布はがすのかぁ、白昆布そのまま頂く仕様の鯖押しずしもあるよな、なんか昆布もったいないな)
等と思いながら笹を脱がせたところ
うんうん。この昆布をはがせばいいんだね。
しかしこれが想定以上の難物。何しろ昆布がぬるぬるなのである。いやそりゃ昆布なんだからぬるぬるでしょうがとにかくぬるぬる。同封してくれた紙のお手拭きじゃ足りるわけがない。まずどこに昆布の切れ目があるのかわからない。それを探すために手でまさぐっているともうぬるぬるしてくる。で漸くはじっこをつまんではがそうとしてもなんか途中で切れたりする。そうこうしてるうちにもう手が昆布なのか昆布が手なのかわかんなくなってくる。そのくらいぬるぬるぬるぬる。
がんばればこうなる。
しかし頑張ってる途中でしくしく泣きながら二回手を洗いにいく羽目になった。ぬるぬるのまんまで。どうやって水栓を回せばいいんだようって泣きながら。そのくらいぬるぬるぬるぬる。
食べた。
酢によって変容した鯖と飯が頗るうまい。鯖肉はきっちりと締められておりながら酸味が強すぎることはなく実に丁度いい。これは確かに名物でありまた美味い物である。鯖に比べて小鯛はおとなしいが、交互に食べて緩急をつけろという能書きの意味がよくわかる旨さである。指示通り全て交互に頂いて、旅先でほんとうによい食事をしたとしみじみと感じ入った。
昆布は見ての通り鯖姿ずしをまるまる包めるような幅広の上品を使っておられるようだ。そのことだけでも感慨深い。
のだが。
例えば京都伊勢丹の写真を見て、帰りの新幹線でつまみにしようと思いついて買った人は昆布に負けるのではないか。自分はホテルで頂いたからよかったものの、隣席のご婦人に長々と昆布と格闘し二回ほど負けて洗面所に立ち手を洗っては戻ってくるなどというお見苦しいところをお見せする羽目になったら大分恥ずかしい。その場合そもそも席を立ったはいいが電車が揺れたときにグリップを握ることすら躊躇われるぬるぬる状態である。ついでにいうと箸休めの生姜の酢漬けの入っている小袋がこれまた昆布でぬるぬるぬるぬるしていて非常に開けづらい。京都の人から試練を与えられているのではないかと思ったほどである。
そんなわけで、いづうの鯖雀盛合せまたは鯖姿ずし1人前6貫を出張帰りの新幹線で食べようと思っているひとは、でかい布のおしぼりを持っていくといいよ!
おまけ:ぬるぬるの人