野菜と小麦粉と畜肉を原料としていることを以て餃子を完全食という向きがあるが、その伝で行けばこのキャベツメンチカツも立派な完全食に相違あるまい。直径10センチ弱、厚さ3センチ弱という堂々とした体躯ながら味わいは想定以上にあっさりしている。メンチカツという言葉から想像されるような脂じみたくどさはなく、衣も比較的軽やかである。単品で成立するほどしっかり味付けされたメンチカツもあるが、これはそうではない。そのままでも食べられなくはないが、優しすぎてだんだん虚無的な気分になってくる。
ソースをかけよう。できればスパイスとフルーツの酸味の効いたやつ。かければわかるこのうまさ!このメンチカツはソースを引き立てる味わいに作られている。ウスター、とんかつ、中濃、なんでもいい、好み次第で醤油やポン酢、はたまたごまだれでもいいかもしれない…そんな風に、どんなソースがやってきても受け入れるような懐の深さを持っている、それがこのメンチカツなのである。食べ口は重くないが食後の満足感は十分である。食べた後胃もたれすることを恐れて揚げ物を敬遠しているような胃弱ご年配にも胸を張ってお勧めできる安心のお惣菜である。
金百円也。
ごちそうさまでした。大変おいしゅうございました。